福岡市中央区天神、那珂川を渡る弁天橋のたもと近く、福岡中央税務署や須崎公園からもほど近い場所に位置していた「博多うどん たい吉」は、かつて多くのうどん愛好家に親しまれたうどん店でした。西鉄天神駅からは徒歩約8分から10分圏内と、中心部からのアクセスも良好な立地です。2017年に美野島で創業し、2018年に祇園、そして2019年に現在の天神へ移転して営業していましたが、残念ながら2024年5月末をもって閉店しました。
「博多うどん たい吉」のうどんは、福岡県産の糸島小麦を使用した手打ち麺が特徴でした。一般的に柔らかな博多うどんの中でも、こちらでは適度なコシも感じられる食べ応えのある食感が人気を集めていました。出汁には、アゴ(トビウオ)や鯖節などからとる旨味豊かなスメを使用しており、その優しい味わいは多くの常連客を魅了していました。かけうどんにはアゴ出汁、ぶっかけうどんには鰹出汁と、メニューによって出汁を使い分けていたことも、だしのこだわりを示す点でした。
提供されるメニューは多岐にわたり、定番のごぼう天うどんをはじめ、肉うどん、丸天うどん、わかめうどん、海老天うどん、穴子一本天うどん、きつねうどん、山かけうどんなど、様々な種類のうどんが提供されていました。特に、博多うどんの定番であるごぼう天は、注文を受けてから揚げるスタイルで、サクサクとした食感が楽しめる別皿での提供が好評でした。丼物メニューも充実しており、かつ丼、鯛漬け丼、牛とじ丼、とり天の親子丼などが人気を集めていました。中でも、かしわご飯はうどんと並ぶ人気のメニューで、ランチセットでも多く選ばれていました。価格帯は、ランチは千円前後、ディナーは三千円前後で、気軽に利用できる価格設定も魅力の一つでした。うどんの麺の量は200gから300gまで選ぶことができ、お好みに合わせて調整が可能でした。
店内はこじんまりとした雰囲気で、アットホームな空間が広がっていました。特別な個室やソファ席の設置はありませんでしたが、リバーサイドに位置していたため、窓からリバークルーズを眺めながら食事を楽しむことができたという声もありました。釜玉うどんのつゆはかけ放題というユニークなサービスも提供されており、自分好みの味に調整できる点が評価されていました。支払い方法は現金のみの対応でした。
かつて「3たて」(切りたて、茹でたて、揚げたて)を掲げ、麺の美味しさとこだわりの出汁、そして揚げたての天ぷらで多くの人々に愛された「博多うどん たい吉」は、その歴史に幕を下ろしましたが、博多うどんの魅力を伝える一軒として記憶されています。