鹿児島ワシントンホテルプラザの15階に位置していた「三十三間堂」は、2024年7月16日をもって営業を終了いたしました。長年にわたり、地域の皆様や観光客に親しまれ、ホテルならではのきめ細やかなサービスと上質な日本料理、特にしゃぶしゃぶを提供してきたレストランでした。
かつて「三十三間堂」があった場所は、鹿児島市の中心部に近く、交通アクセスに恵まれていました。市電高見馬場電停からは徒歩約3分、高見馬場バス停からもすぐの距離にあり、天文館からのアクセスも良好でした。建物の最上階である15階という立地を生かし、開放的なテーブル席からは、錦江湾の向こうにそびえる雄大な桜島や、鹿児島市街の夜景など、美しい眺望を望むことができました。この景観は、食事の時間をより一層特別なものにしていました。
このレストランの大きな特徴は、鹿児島が誇るブランド食材を贅沢に使用した料理の数々でした。中でも、地元の黒豚や黒毛和牛を心ゆくまで堪能できるしゃぶしゃぶは、その名物として多くの人々に親しまれていました。また、季節ごとに旬の食材をふんだんに取り入れた会席料理も提供されており、訪れるたびに日本の四季を感じさせる繊細な味わいを楽しむことができました。利用者の安心を考慮し、一人ずつ独立した鍋で提供する「一人鍋しゃぶしゃぶ」形式も導入されていました。
提供されていたメニューは多岐にわたりました。ランチタイムには、様々な料理を少しずつ美しく盛り付けた「花かご御膳」が人気を博していました。他にも、新鮮な海の幸を味わえる「お造り御膳」や、揚げたての「天ぷら御膳」、プリプリの海老がのった「海老天重御膳」、そして「鹿児島黒豚のしゃぶしゃぶ御膳」や「黒毛和牛陶板すき焼き御膳」など、手軽に本格的な和食を堪能できる御膳料理が充実していました。ディナータイムには、名物のしゃぶしゃぶに加え、趣向を凝らした季節の会席料理や、一品料理が提供され、ビジネスでの会食、家族の団らん、お祝いの席、法要、同窓会など、多様な目的で利用されていました。飲み放題プランも用意されており、各種宴席にも対応していました。
店内の空間は、落ち着いた雰囲気の中に洗練された和の趣が感じられる設えでした。総席数は66席全てが椅子席で、ゆったりと食事ができる広々とした空間が確保されていました。特に注目すべきは、豊富な個室の存在です。4名用、8名用、最大30名まで収容可能な個室が計7部屋用意されており、利用人数や目的に応じてプライベートな空間で過ごすことができました。これらの個室には「薩摩」「霧島」「城山」など、鹿児島にゆかりのある地名が名付けられており、細部にわたるこだわりが感じられました。また、全席が椅子席であったため、ご年配の利用者も足元を気にすることなく、リラックスして食事の時間を過ごせるよう配慮が行き届いていました。
特別なサービスとして、誕生日や記念日などのお祝い事やサプライズの相談にも対応しており、大切な日を彩る演出がサポートされていました。お子様連れの家族にも配慮がなされ、お子様メニューの提供はもちろんのこと、キッズ食器や子ども椅子も用意されており、安心して食事を楽しめる環境が整っていました。また、車で訪れる利用者向けには、近隣の提携駐車場(中央ビル・メインパーク・T-MAX)での駐車料金割引サービスも提供されていました。
「三十三間堂」は、その上質な料理と美しい眺望、そして温かいおもてなしで、多くの人々の心に残る場所として存在していましたが、2024年7月16日をもって営業を終了し、その歴史に幕を閉じました。