福岡市南区長住の閑静な住宅街に本店を構える「博多一番太鼓」は、創業75年以上の長い歴史を誇る老舗のわらび餅専門店です。地元福岡では、世代を超えて愛され続けるソウルスイーツとして確固たる地位を築いています。特に、チリンチリンと鐘の音を鳴らしながら街中を巡るリヤカー(自転車屋台)での移動販売は、多くの福岡市民にとって馴染み深い光景となっています。
この店の真髄は、なんといってもそのわらび餅にあります。職人が丹精込めて手作りするわらび餅は、美しい透明感と、ぷるぷるとしながらも独特の弾力を持つ食感が特徴です。その味わいは、どこか懐かしくも上品で、一度食べると忘れられない魅力を持っています。
看板商品は、食べ歩きに最適な「わらび餅もなか」です。この商品は注文を受けてから一つひとつ丁寧に作られます。たっぷりのきな粉をまとった出来立ての温かいわらび餅を、香ばしく焼き上げられたパリパリ食感の最中の中に詰めて提供されます。最中の軽やかな歯ざわりと、中のわらび餅のもっちりとした食感のコントラストが絶妙で、口の中に優しい甘さが広がります。手頃な価格で楽しめるこのわらび餅もなかは、店の前や移動販売先で気軽に味わえる一品として絶大な人気を誇ります。
もちろん、持ち帰り用のメニューも充実しています。自宅でゆっくりと味わいたい方や、手土産として利用したい方のために、パック入りのわらび餅も用意されています。たっぷりと添えられた風味豊かなきな粉をかけていただくスタイルで、お店の味を家庭でも楽しむことができます。さらに、ぜんざい(粒あん)またはおしるこ(こしあん)を選び、きなこや醤油など五つの異なる味でわらび餅を堪能できる「花見こもち」といった、趣向を凝らしたメニューも存在し、贈答用としても喜ばれています。
「博多一番太鼓」の販売スタイルはユニークで、長住にある本店でのテイクアウト販売に加えて、2台の屋台が福岡市内を巡回する移動販売を行っています。屋台の出没情報は公式のSNSで日々発信されており、その情報を頼りに多くのファンがわらび餅を求めて集まります。神出鬼没な屋台を見つけた時の喜びも、この店の魅力の一つと言えるでしょう。また、Uber Eatsなどのデリバリーサービスにも対応しており、より手軽にその味を楽しめるようになりました。
店舗はテイクアウト専門のため、イートインスペースや個室、カウンター席といった座席はありません。
アクセスについては、最寄りの西鉄高宮駅からは距離があるため、バスの利用が便利です。西鉄バス「長住三丁目」バス停からは徒歩約3分、「長住四丁目」バス停からは徒歩約2分で到着します。専用の駐車場はありませんが、店舗周辺には複数のコインパーキングが点在しているため、車での訪問も可能です。長年守り続けられてきた伝統の製法と、市民に寄り添う温かい販売スタイルで、これからも多くの人々に幸せなひとときを届け続ける名店です。