福岡市の中心地、天神エリアにかつて存在した「たらみフルーツ工房」は、多くのスイーツファンに惜しまれつつ2023年5月31日にその歴史に幕を閉じたフルーツデザートの専門店です。西鉄福岡(天神)駅から徒歩約4分というアクセスしやすい立地にあり、ショッピングや仕事の合間に立ち寄れる都会のオアシスとして親しまれていました。
この店の最大の魅力は、フルーツゼリーの国内トップシェアメーカーとして知られる「たらみ」が全国で初めて手掛けた路面店であるという点です。長年培ってきたフルーツに関する専門知識と技術を注ぎ込み、「街のなかの果樹園」をコンセプトに、訪れる人々に感動と癒やしを提供していました。白を基調としたナチュラルな雰囲気の店内には、1階に色とりどりのデザートが並ぶショーケース、2階には9席ほどのイートインスペースが設けられており、購入したスイーツをその場で味わうことも可能でした。
看板メニューは、なんといっても「フレッシュフルーツの生ゼリー」です。このゼリーは、一般的な常温保存可能なゼリーとは一線を画し、旬の国産フルーツを加熱処理せずに使用するのが最大の特徴でした。フルーツ本来の風味、香り、食感を損なうことなく、まるで生の果実をそのまま食べているかのような瑞々しさを楽しむことができました。長崎の工房から毎日直送されるゼリーは、メロン、マンゴー、シャインマスカット、長崎県産白イチゴ「パールホワイト」など、その時期に最も美味しいフルーツを厳選して使用。宝石箱のようにキラキラと輝く見た目も美しく、自分へのご褒美はもちろん、大切な人への手土産としても絶大な人気を誇っていました。
また、ゼリーの枠を超えた新感覚のスイーツ「季節のフルーツデザート」も多くのファンを魅了しました。濃厚なミルクやチーズを贅沢に使ったプリン、ティラミス、パンナコッタ、チーズデザートなどと、旬のフルーツが絶妙に組み合わさり、ここでしか味わえない特別なマリアージュを生み出していました。甘さを抑え、フルーツの味を引き立てるように計算されたゼリーやクリームは、まさにフルーツのプロフェッショナルである「たらみ」のこだわりが凝縮された逸品でした。
その他にも、フルーツと野菜を使ったスムージーなども提供しており、甘いものが食べたい時はもちろん、気軽にビタミンを補給したい時にもぴったりの場所でした。価格帯は、生ゼリーが一杯700円前後から、フルーツデザートが800円前後と、決して安価ではありませんでしたが、その価格に見合うだけの品質と満足感が得られると評判でした。
オープン当初から多くのメディアや個人のブログで紹介され、週末にはイートインスペースが満席になることもしばしばありました。多くの人々に愛された「たらみフルーツ工房」は閉店してしまいましたが、そのこだわりの味とフルーツへの情熱は、福岡のスイーツ好きの記憶の中に鮮明に残り続けています。