福岡県柳川市上宮永町、柳川市民会館の隣に位置する「野木屋珈琲店」は、珈琲への深い愛情とこだわりが詰まった喫茶店です。西鉄天神大牟田線の西鉄柳川駅からは約1.7キロメートルの距離にあり、散策を兼ねて訪れることもできますが、店舗には駐車場が完備されているため、車でのアクセスが至便です。
この店の歴史は深く、一度は2017年に惜しまれつつも40年の歴史に幕を下ろしました。しかし、店のファンであった現店主がその味と雰囲気を絶やすまいと、先代の想いとノウハウを受け継ぎ、2021年秋に見事に復活を遂げました。店内は、時が止まったかのような昭和レトロな雰囲気が漂い、壁一面に並べられた数々のコーヒーカップが、店の長い歴史を物語っています。どこか懐かしく、それでいて心安らぐ空間は、訪れる人々を温かく迎え入れ、日常の喧騒を忘れさせてくれます。
野木屋珈琲店の神髄は、店主がこだわり抜いた自家焙煎の珈琲にあります。一杯一杯、丁寧にハンドドリップまたはサイフォンで淹れられる珈琲は、格別な香りと味わいを提供してくれます。珈琲豆の種類も豊富に取り揃えられており、自分の好みに合わせた一杯を見つける楽しみもあります。
フードメニューもこの店の大きな魅力の一つです。中でも、長年の看板メニューとして愛され続けているのが「タカナライス」です。高菜とシーチキンをバターで香ばしく炒め合わせたご飯の上に、マヨネーズときゅうりが添えられた一皿は、シンプルながらも絶妙な味わいのハーモニーを奏で、多くの常連客の心を掴んで離しません。このタカナライスを求めて遠方から訪れるファンも少なくありません。その他にも、昔懐かしい味わいのオムライスや、復活後に新たに加わった馬すじカレーなど、喫茶店ならではの魅力的な食事が揃っています。
スイーツも見逃せません。手作りのチーズケーキやベルギーワッフル、チョコレートパフェといった定番の甘味から、コーヒー白玉ぜんざい、抹茶白玉ぜんざいといった和のテイストを取り入れたオリジナルスイーツまで、珈琲と共に楽しみたいデザートが充実しています。また、野木屋名物のミルクセーキも、長年愛される人気ドリンクの一つです。
店内にはカウンター席とテーブル席が設けられており、一人で静かに珈琲を味わう時間から、友人や大切な人との語らいのひとときまで、様々なシーンで利用することができます。特別な個室はありませんが、そのオープンで落ち着いた空間全体が、訪れるすべての人にとってのプライベートな時間を演出してくれます。フードメニューのテイクアウトも可能で、自宅やオフィスでも野木屋の味を楽しむことができます。支払いは現金のほか、PayPayなどのQRコード決済にも対応しています。
地域のファンに支えられ、新たな歴史を刻み始めた野木屋珈琲店。そこには、ただ飲食を提供するだけでない、人と人との繋がりや温かい想いが息づいています。柳川の地で、変わらぬ味と安らぎの空間を守り続けるこの店は、美味しい珈琲と食事を求める人々にとって、かけがえのない一軒と言えるでしょう。