福岡市中央区平尾、西鉄天神大牟田線の西鉄平尾駅から徒歩約5〜6分の場所に、昭和の時代から時を刻む「喫茶&軽食ノワ」はあります。レンガ調のタイルとブラウンのストライプ柄のオーニングが目印の、どこか懐かしい佇まいが魅力の純喫茶です。1971年(昭和46年)の創業以来、半世紀以上にわたって地域住民や常連客に愛され続けてきました。
店内はわずか6坪ほどの空間ながら、温かみのある雰囲気に満ちています。ログハウスを思わせる板張りの壁には、創業者のご主人が描いた絵画が飾られ、L字型のカウンター席が6席設けられています。黒いレザー張りの重厚な椅子や、金属製の骨組みがモダンな照明など、開業当時のままのレトロなインテリアが、訪れる人々を優しく迎え入れます。窓際には、サイドテーブルを挟んでソファが並ぶユニークな席もあり、一人でもグループでも思い思いの時間を過ごすことができます。
「ノワ」の魅力は、その空間だけでなく、丁寧に作られる洋食メニューにもあります。食事メニューの中心は、11時から14時のランチタイムに提供される「日替わりランチ」です。ある日のメニューは、手ごねで作られた肉汁あふれるジューシーなハンバーグ。その他にも「ポークカツレツ」や「カレーライス」、「ピラフ」といった、昔ながらの喫茶店を彷彿とさせる洋食メニューが揃います。軽食として「サンドイッチ」や「トースト」も用意されており、小腹が空いた時にも気軽に立ち寄れます。
ドリンクは、サイフォンで一杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーが自慢です。かつて夜はスナックとしても営業していた名残で、ウイスキーやカクテルなどのアルコール類も楽しむことができます。
特筆すべきは、店内が全席喫煙可能であることです。近年、喫煙できる飲食店が少なくなっている中で、愛煙家にとっては貴重な憩いの場となっています。
創業以来、多くの常連客に支えられ、中には創業当初から通い続ける90代の顧客もいるというエピソードからも、この店がどれほど深く地域に根ざしているかがうかがえます。かつて近隣にあったテレビ西日本の社員も足繁く通ったという歴史も持ちます。時代の流れとともに街の風景は変わりましたが、「喫茶&軽食ノワ」は変わらない温もりと味わいで、今日も訪れる人々を待っています。忙しい日常を忘れ、ゆったりとした時間の流れる昭和レトロな空間で、心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。