福岡県福岡市南区大楠2-17-5 井上ビルB号室に位置していた「天ぷら なすび」は、かつて西鉄天神大牟田線西鉄平尾駅から徒歩約5分と、公共交通機関でのアクセスも便利な立地にありました。周辺には那の川のスーパーマーケット「サニー」や堀川公園があり、地域の人々にとって親しみやすい場所に店を構えていました。この店舗は、博多天ぷらと江戸前天ぷらの両方で研鑽を積んだ店主が、「誰でも気軽に楽しめる本格天ぷら」をコンセプトに掲げ、従来の高級天ぷら専門店と大衆的な天ぷら食堂の間に位置する、新たなスタイルの天ぷらを提案していました。揚げたての天ぷらを気軽に味わえる「天ぷら酒場」のような雰囲気も持ち合わせ、格式張らずに食事を楽しみたい方や、お酒と共に天ぷらを堪能したい方々から支持を集めていました。
提供される天ぷらは、店主が長年の経験で培った技術により、胃もたれしにくい軽やかな揚げ上がりが特徴でした。薄すぎず厚すぎない絶妙な衣は、サクサクとした食感を生み出し、素材そのものの風味や旨味を最大限に引き出していました。揚げ油には菜種油100%を使用し、九州各地から厳選された旬の食材を積極的に取り入れていました。特に、福岡の魚市場である柳橋から独自のルートで仕入れる新鮮な魚介類や、店主の地元である朝倉産の野菜をふんだんに使用するなど、素材へのこだわりも随所に感じられました。定番の食材の天ぷらに加え、梅干しやまるごとピーマン、鶏の手羽先といった、他店ではあまり見かけないような変わり種の天ぷらも提供され、訪れる人々に新たな発見と喜びをもたらしていました。
メニューは、昼と夜で異なる楽しみ方ができる構成でした。昼の時間帯には、定食や天丼が中心で、「野菜天ぷら定食」は980円から、「天ぷら定食」は海老、豚肉、魚介2種(イカ、サバ)、野菜3種(大根、ごぼう、ナス)などを含む7品で1280円でした。「天丼」は1280円から、「上天丼」は海老2本、魚介、かき揚げ、味付け玉子、季節野菜3種を含む8品で1780円と、手頃な価格で本格的な天ぷらを楽しむことができました。ランチタイムには、ご飯の大盛り無料サービスや、自家製の浅漬けがセルフサービスで食べ放題という嬉しいサービスも提供され、多くの人々に満足感を与えていました。
夜の時間帯は、お酒と共に天ぷらを楽しむ「天ぷら酒場」としての魅力が際立っていました。「天ぷらおまかせ5種」は1500円という手頃な価格で、定番のネタと旬の食材がバランス良く提供され、気軽に様々な天ぷらを味わうことができました。さらに、小鉢、刺身、天ぷら9品、〆の食事(小天丼または天茶)が付く「なすびコース」(4900円)も用意されており、厳選された日本酒や焼酎との組み合わせを楽しむことができました。天ぷら以外の逸品料理として、活〆対馬産炙り穴子刺しや季節野菜と豆腐の揚げ出しなども提供され、幅広いニーズに応えていました。また、昼間からでも、天ぷらの単品注文や、5品の天ぷらとビールがセットになった1080円の「昼呑みセット」が用意されており、昼飲みを楽しみたい方にも選ばれるお店でした。
店内の座席は、カウンター席とテーブル席がバランス良く配置されていました。特にカウンター席では、目の前で職人が一つ一つ丁寧に天ぷらを揚げる様子を間近で見ることができ、ライブ感あふれる食事体験を提供していました。席数はカウンター8席、テーブル24席の計32席が確認されており、席と席の間にはゆとりが確保されていたため、周囲を気にせずゆったりと食事を楽しむことができる空間でした。お子さん連れの来店にも配慮し、キッズチェアも用意されていました。また、昼と夜とで照明の明るさを変えるといった細やかな演出も施されており、時間帯によって異なるお店の雰囲気を楽しむことができる工夫が凝らされていました。
「天ぷら なすび」は、この福岡市南区大楠の地で、手軽に本格的な天ぷらを味わえる店として多くの顧客に愛されていましたが、現在は福岡市中央区春吉に移転し、「天ぷらnasubi」として営業を続けています。