福岡市博多区博多駅東、ARKビルの地下1階に位置していた「肉の匠 牡丹」は、かつて多くの食通に愛された肉料理の専門店でした。JR博多駅筑紫口から徒歩約5分から7分とアクセスしやすい立地であり、博多駅東エリアの賑わいの中にありながら、隠れ家のような落ち着いた雰囲気を醸し出していました。2021年2月16日にオープンし、最高級の黒毛和牛や福岡県産のブランド豚「糸島豚」を主役とした多彩な鍋料理を提供していましたが、残念ながら2024年6月30日をもって閉店いたしました。
「王者の風格」「高貴、富貴」という牡丹の花言葉をコンセプトに掲げていた「肉の匠 牡丹」は、その名の通り、厳選された食材と上質な空間で特別なひとときを提供していました。店内は純和風の落ち着いた設えで、カウンター席が8席、テーブル席が12席、そしてプライベート感を重視した完全個室が9席(2名から8名まで対応可能)と、計29席が設けられていました。特に個室は接待やデート、大人数での宴会など、様々な利用シーンで重宝され、広々とした空間でゆったりと食事を楽しめる点が特徴でした。また、店内には大型の吸気・排気設備が整えられており、快適な環境が保たれていました。
提供されていた料理は、佐賀県産A5ランクの伊万里牛やすき焼き、しゃぶしゃぶ、そして自家製出汁を使った博多名物のもつ鍋が看板メニューでした。伊万里牛は鍋に合う部位が厳選され、その美しい「牡丹花盛り」は視覚にも訴えかける一品でした。また、一部のコースでは、鮮度抜群の活きイカの活き造りや、前菜として初鰹のたたき、ヒラマサの腹身、水イカの刺身などが供され、季節の海の幸も堪能できました。〆にはきしめんやちゃんぽん麺、雑炊なども選べ、最後のひとときまで贅沢な味わいが提供されていました。
ランチタイムには、オフィス街という立地柄、手軽に楽しめる定食も提供されていました。一例として、匠の手仕込みアジフライ定食や、黒毛和牛レア牛丼などがあり、1,000円前後の価格帯から、黒毛和牛や糸島豚の御膳(1,480円~2,480円程度)まで幅広い選択肢がありました。特にランチで提供されていた北海道産ゆめぴりかご飯は、炊きたて熱々で大盛り無料というサービスがあり、好評を博していました。期間限定で、牛タンと釜炊きご飯に特化した「#オコメノチカラ」という間借り営業が行われていた時期もあり、SSSタン定食やタントロ釜丼といったメニューも提供され、お米に合う自家製ソースや塩、削りたてのかつお節などのトッピングも楽しめました。
ディナーの予算は一人当たり5,000円から7,999円程度が目安とされており、アラカルト利用の場合はお通し代が400円かかりました。ドリンクは日本酒、焼酎、ワイン、カクテルなど豊富に揃えられ、特に日本酒や焼酎にこだわりが見られました。また、ボトルでのドリンク持ち込みも一本3,000円で可能であり、ソムリエが在籍していたことも、ワイン愛好家にとっては魅力的なサービスでした。利用者の特別な日には、お祝いやサプライズの演出にも対応しており、細やかな気配りが感じられる店でした。