福岡市中央区天神に位置していた雑魚屋 福岡天神店は、福岡天神センタービルの地下1階に店を構え、かつては新鮮な海の幸を存分に堪能できる和食処として多くの人々から親しまれていました。地下鉄天神駅の1番出口から徒歩約2分、西鉄福岡(天神)駅からも徒歩約4分という、天神の中心部にありながらも地下の落ち着いた空間が隠れ家的な魅力を放っていました。惜しまれつつも、2023年6月10日をもってその営業を終了しました。
店内に足を踏み入れると、都会の喧騒とは一線を画した、洗練された雰囲気が広がっていました。入口付近に設けられた美しい生け簀では、活きの良い鮮魚が悠然と泳ぎ、訪れる客の目を楽しませていました。この生け簀は、玄界灘をはじめとする近海の豊かな漁場から直接仕入れた地魚を提供するという、雑魚屋のこだわりを象徴するものでした。木目調を基調としたシックで幻想的な内装は、大人のための落ち着いた空間を演出しており、ゆったりと食事の時間を過ごすのに最適な雰囲気でした。照明はやや落とされ、よりプライベートな時間を過ごせるような工夫が凝らされていました。
雑魚屋 福岡天神店では、その日に仕入れたばかりの新鮮な魚介を使った創作料理が豊富に提供されていました。特に、鮮度抜群の魚を贅沢に味わえる活き造りは、来店客から高い人気を誇る逸品でした。ランチタイムには、手軽な価格で本格的な和食を楽しめる膳料理が多数用意されており、中でも「雑魚屋膳」は、新鮮な刺身、揚げたての天ぷら、茶碗蒸し、ご飯、味噌汁、漬物がセットになった充実の内容で、1,000円という価格で提供されていました。さらに上質な内容の「雑魚屋膳(上)」は1,800円で、より豪華な食事を堪能できました。お子様ランチも680円で用意されており、家族連れでも安心して利用できる環境が整えられていました。ランチのご飯はおかわり自由というサービスもあり、心ゆくまで食事を楽しむことができました。
座席は、プライバシーが重視された造りとなっており、掘りごたつ式の個室が多数完備されていました。これにより、周囲を気にすることなく、友人との和やかな会食や、家族との大切な食事、ビジネスシーンでの接待など、様々な用途で利用されていました。一部の個室では、床がガラス張りになっており、その下を魚が泳ぐような趣向が凝らされたユニークな演出が特徴的でした。少人数から大人数まで対応可能な個室が充実していたため、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと会話と料理を味わうことができました。
特別なサービスとして、ランチ利用時には200円を追加するだけで、コーヒーや紅茶がセルフサービスで飲み放題になるサービスが提供されていました。これにより、食後も時間を気にせず、ゆっくりとカフェタイムを過ごすことができました。また、雑魚屋の名物としても知られていた「コーヒーぜんざい」は、食後のデザートとして人気が高く、ミニサイズは200円、通常サイズは450円で追加することが可能でした。各テーブルや個室には液晶モニターが設置されており、その日の活魚情報や、メニューには載っていない鮮魚の種類などを確認できる工夫が凝らされ、客が自ら好みの魚を選んで注文する楽しみも提供されていました。
かつて、新鮮な魚介と洗練された空間、そしてきめ細やかなサービスで多くの人々を魅了した雑魚屋 福岡天神店は、その歴史に幕を下ろしましたが、福岡の地で愛された和食処としての記憶は、多くの人々の心に深く刻まれています。