静岡県富士宮市万野原新田に位置していた「喰い物屋 KOTETSU」は、かつて地域で親しまれた無国籍庶民派料理を提供する飲食店でした。国道139号線沿い、ジャンボエンチョー富士宮店のすぐ隣という分かりやすい立地であり、駐車場も店舗前に確保されていたため、車でのアクセスが便利でした。最寄りの西富士宮駅からは約2,864mの距離にあり、徒歩では30分ほど、タクシーを利用すれば10分程度で到着することができました。バイパスからの直接の入店はできず、ジャンボエンチョー富士宮店やビラ江戸屋ボウルへの引き込み通路を利用する形でした。
1997年6月25日にオープンして以来、20年以上の長きにわたり営業を続けていたこの店舗は、落ち着いた空間が特徴的でした。店内には観葉植物や様々な雑貨が飾られ、やや薄暗い照明が心地よい、隠れ家のような雰囲気を醸し出していました。カウンター席も備えられており、一人でも気軽に立ち寄れる居心地の良さから、友人との利用はもちろん、食事や飲物を楽しむ人々に選ばれていました。また、貸切での利用も可能で、無料Wi-Fiも提供されていました。
「喰い物屋 KOTETSU」の大きな魅力は、その独創的な料理の数々でした。中でも、多くの客から愛されていたのが、富士宮でいち早くスパイスカレーを提供し始めた先駆けともいえる「コテツのあいがけカレー」でした。このカレーは、強い和風だしの旨味をベースにした「チキンと旬菜の和だしカレー」と、深いコクが特徴の「和風キーマカレー」、または香ばしい「干しエビキーマ」を一度に楽しめるもので、日本人好みの優しい味わいながらも、スパイスの奥深さを感じさせる逸品でした。提供されるカレーは、直径30センチほどの大皿で供され、富士宮の伝統的なカレー店に劣らないボリュームも魅力の一つでした。他にも、豚汁をイメージした和風だしの「味噌ポークカレー」や、まろやかな味わいの「グリーンカレーそぼろご飯」といったユニークなカレーメニューが揃っていました。
カレーだけでなく、ジャンルにとらわれない無国籍料理も豊富に提供されていました。例えば、マレーシアの庶民的な麺料理「パンミー」を日本人向けにアレンジした「マレーシア風混ぜうどん」は、もちもちとした食感のうどんに、干しエビやフライドオニオンの風味、温泉卵のまろやかさが加わり、特製の豚ひき肉の味付けが絶妙なバランスでした。また、キャンプ飯をイメージした「ごきげん飯ティン」も人気を集め、じっくりと煮込まれた豚バラ肉と温かいご飯の相性が抜群でした。パスタやピザ、よだれ鶏、カルパッチョといった幅広いメニューも揃い、様々なニーズに応えていました。
ドリンクメニューも充実しており、オリジナルカクテルやノンアルコールカクテル「モックテル」の種類が豊富でした。クラフトビールも取り扱っており、地元のファーイーストブルーイングの東京IPAやヤッホーブルーイングのよなよなエールなどを楽しむことができました。特に、泡盛をベースにした「クレイジークロウラー」や「サワヤカ」、そしてオーナーが趣向を凝らして提供していた「大人なクリームソーダ」なども、来店客を魅了する一因となっていました。
ランチタイムの予算は1,000円未満、ディナータイムは1,000円から1,999円程度が目安とされ、カードや電子マネーでの支払いは受け付けていませんでした。お祝いやサプライズの演出にも対応しており、特別な日の利用にも適していました。店内は全席喫煙可能でした。
長年にわたり多くの人々に愛されてきた「喰い物屋 KOTETSU」は、2024年3月3日をもって閉店しました。