静岡県沼津市新宿町に位置し、多くの地元住民や訪問客に親しまれてきた「沖縄茶屋 なんくる 沼津店」は、2025年3月29日をもってその営業に幕を下ろしました。JR東海道線沼津駅北口から徒歩約5分というアクセスしやすい立地にあったこの店舗は、沖縄の豊かな食文化を沼津の地で提供し、多くの人々に愛され続けていました。
「沖縄茶屋 なんくる 沼津店」は、「本物の沖縄料理を気軽に楽しんでほしい」というコンセプトのもと、沖縄から直接取り寄せた食材をふんだんに使用していました。店内は、沖縄民謡が心地よく流れる穏やかな雰囲気で、琉球ガラスや沖縄の伝統的な焼き物であるやちむん、さらには沖縄の民家を思わせる装飾品が随所に配され、訪れる人々をまるで沖縄へ旅行したかのような気分に誘っていました。特に、女性客一人でも気軽に利用できる落ち着いた空間は、多くの方に支持されていました。
かつて提供されていたメニューは、沖縄料理の定番から独創的な一品まで多岐にわたりました。看板メニューの一つには、じゅーしー(沖縄風炊き込みご飯)がおかわり自由で付いてくる「ソーキそば定食」や「ゴーヤちゃんぷるー定食」があり、それぞれ930円前後で提供されていました。沖縄の豚肉料理である「ラフテー」は700円程度で、とろけるような柔らかさが特徴でした。「タコライス」は野菜がたっぷり摂れることから女性に人気で1,050円、他にもピリ辛の「ゴーヤ炒飯」が950円、沖縄の油味噌を使った「アンダンスーおにぎり」が480円、そして手軽に楽しめる「ポーク玉子おにぎり」が580円など、多彩な沖縄の味が揃っていました。さらに、「スーチカー」のような沖縄では定番の豚肉料理や、「ナーベラーウブシー」「どぅる天」といった珍しい郷土料理も楽しむことができました。
ランチタイムには、830円から1,080円程度の予算で利用できるお得な定食が用意されており、特に「贅沢ランチ」や「スペシャルランチ」は、複数の小鉢やドリンク、デザートが付いた豪華な内容で、1,500円から1,980円程度で提供され人気を博していました。夜の時間は、平均予算が2,160円から3,240円程度で、お酒と共に沖縄料理を堪能する場として賑わっていました。宴会コースも用意されており、90分または120分の飲み放題が付いたコースでは、もずく天やラフテーを含む沖縄料理の数々が提供され、4,400円から4,950円程度で利用できました。
店内の総席数は36席から45席ほどで、テーブル席やカウンター席のほか、座敷席やテラス席も設けられていました。特にテラス席ではペット同伴が可能であったため、愛犬家にも愛されるお店でした。また、子連れの利用客にも配慮が行き届いており、子供用の椅子やベビーベッド、おむつ交換スペースが完備されていたことは、家族連れにとって嬉しいサービスでした。ドリンクは琉球グラスで提供されるなど、細部にわたるこだわりが沖縄の雰囲気を一層引き立てていました。誕生日には特別なサービスがあったり、過去にはライブやショーが開催されることもあったとされており、食だけでなく沖縄の文化に触れることができる場所としても知られていました。
かつてこの場所で、本格的な沖縄の味と温かいおもてなしを提供し、沼津の食文化に彩りを加えていた「沖縄茶屋 なんくる 沼津店」。その閉店は惜しまれますが、多くの人々の心の中に、沖縄の風を感じる思い出として残り続けることでしょう。