静岡県浜松市西区入野町に位置していた「三河焼肉 大東園 浜松入野店」は、豊橋で六十年以上にわたり愛されてきた「三河焼肉 大東園」が、二〇二一年六月二十八日に県外初となる店舗として開業した焼肉専門店でした。浜松雄踏線沿いの利便性の高い場所にあり、近隣にはソフトバンク浜松入野店や酒やビックといった目印になる施設がありました。店舗敷地内には広々とした駐車場が設けられていたため、車でのアクセスが非常に便利でした。公共交通機関を利用する場合、最寄り駅である高塚駅北口からは車で約六分、また遠鉄バスの東彦尾バス停からは徒歩約三分という立地でした。
この店舗は、A4ランク以上の厳選された黒毛和牛を中心に据えたメニュー構成が特徴でした。特に、創業以来の伝統を守り続ける秘伝の自家製フルーツダレは、多くの客に支持されていました。数種類の果物と調味料を絶妙なバランスで配合したこのタレは、甘くフルーティーでありながら肉本来の旨味を際立たせ、焼肉の味を一層引き立てていました。このタレは、注文が入ってからその都度手作りされることで、常に新鮮な状態で提供され、肉との一体感を生み出していました。
店内は広々としており、総席数は九十席に及びました。多様なニーズに応えるため、ベンチシートのテーブル席、足元を気にせずくつろげる掘りごたつ席、そしてプライベートな空間を確保できる半個室も完備されていました。家族での食事や友人との会食、ビジネスシーンなど、様々なシチュエーションで利用されていました。清潔感のある空間と、来店客への丁寧な接客も、この店の魅力の一つとして挙げられていました。
提供されたメニューには、黒毛和牛カルビや黒毛和牛上カルビ、国産牛上ロースなどの上質な焼肉のほか、厚切り牛上タン塩、多彩なホルモン、豚肉、鶏肉といった幅広いラインナップがありました。また、海鮮焼や焼野菜も用意されており、バランスの取れた食事が楽しめました。サイドメニューも充実しており、石焼ビビンバ、クッパ、冷麺といったご飯物や麺類、キムチ、スープ、サラダなどが揃っていました。特に、本場台湾のレシピに基づいて作られた杏仁豆腐は、食後のデザートとして人気を集めていました。ランチタイムには、コストパフォーマンスに優れた平日限定ランチやカルビランチなどが提供され、気軽に上質な焼肉を堪能できる機会を提供していました。
「三河焼肉 大東園 浜松入野店」は、二〇二三年五月七日をもって閉店しており、現在はその「伝統の味」をこの店舗で直接体験することはできません。かつてこの場所には、同じ甲羅グループが運営する「赤から 浜松入野店」がありました。浜松の焼肉シーンにおいて、質の高い肉と秘伝のタレで多くの人々に記憶される存在として、その役割を終えました。