愛知県名古屋市東区泉1丁目4-36に位置していた「maison de Lion by 純喫茶ライオン」は、名古屋の喫茶店文化を長きにわたり支えてきた老舗「純喫茶ライオン」の2号店として、2022年8月18日にその暖簾を掲げました。地下鉄久屋大通駅からおよそ572メートル、徒歩にして約9分の距離にあり、また高岳駅1番出口からも徒歩約9分というアクセスしやすい立地でした。
この喫茶店は、本店とは異なる新たなレトロ空間をコンセプトとしていました。大正時代に建てられた歴史ある長屋の一角を改装して造り上げられ、店内には純喫茶ライオンが創業した昭和33年から昭和40年代にかけて実際に使用されていた家具や調度品が配されていました。これにより、新しい店舗でありながらも、どこか懐かしさを感じさせるレトロな雰囲気が演出されており、訪れる人々にゆったりとした時間を提供していました。一部の利用者からは、レトロな家具と現代的な家具が混在する様子から、学園祭の喫茶店のようなユニークな雰囲気を感じられたという声も聞かれました。
メニューは、喫茶店ならではの懐かしい味わいを大切にしていました。特に人気を集めていたフードメニューの一つに「エッグトースト」がありました。ペースト状ではなく、ふわふわで温かい玉子焼きが丁寧に挟み込まれた一品で、その優しい卵の甘みと香りが特徴でした。少しだけ食べたいという方のために、小サイズも用意されており、細やかな配慮がうかがえました。また、喫茶スイーツの定番として多くのファンを魅了していたのが「自家製プリン」です。数量限定で提供されるこのプリンは、しっかりとした固めの食感で、ホイップクリームとチェリーが添えられた王道のスタイルでした。ブルンとした弾力とともに、濃厚な卵の甘みとカラメルのほろ苦さが絶妙に調和し、癒しのひとときをもたらしていました。「プリン・ア・ラ・モード」もメニューに名を連ね、さらに店舗限定のクリームソーダも提供されており、訪れるたびに異なる楽しみが待っていました。中には、ピンセットを使って自分でデコレーションする「プリンアラモード」という特別な体験もできたとされています。グランドメニューのほか、モーニングサービスやランチメニューも時間帯によって提供され、様々なシーンで利用できる喫茶店でした。
「maison de Lion by 純喫茶ライオン」は、その後「純喫茶ライオン」として店舗が統合され、同じ住所で営業を続けていましたが、2025年2月9日をもってその歴史に幕を下ろし、閉店いたしました。