愛知県名古屋市中区錦三丁目の中心部に位置する「大黒屋本店」は、安政元年(1854年)創業という百六十年以上の長い歴史を持つ老舗の甘味処です。元々は伝統的な落雁を専門とする和菓子店として始まり、現在では喫茶スペースも併設され、ゆったりとした空間で日本の伝統的な甘味を味わうことができます。都会の喧騒の中にありながら、店内は落ち着いた雰囲気が特徴で、くつろぎのひとときを過ごしたい人々に親しまれています。
交通アクセスとしては、名古屋市営地下鉄東山線または名城線の栄駅から徒歩約3分から4分と、主要駅からのアクセスが良好です。また、名古屋市営地下鉄名城線の久屋大通駅からは徒歩約6分から7分、名鉄瀬戸線の栄町駅からは徒歩約7分から8分の距離に位置しており、多方面からの来店が可能です。周辺は繁華街でありながらも、路地に入ると静かで、隠れ家のような趣も感じられます。
「大黒屋本店」の大きな特徴は、創業以来受け継がれてきた落雁づくりの伝統です。一般的な落雁のイメージを覆す、口溶けの良い柔らかな食感が多くの人に評価されています。特に、国産玄米粉とフェアトレードのカカオニブを使用した「生落雁 加加阿 cacao」は、和と洋の魅力が融合した新しい味わいとして注目を集め、「あたらしい名古屋の和菓子土産コンテスト」で選定された「なごや菓八菓」の一つにもなっています。この商品は、伝統的な製法に新しい息吹を吹き込んだ、現代のニーズに合った逸品として、手土産にも最適です。
喫茶スペースでは、注文を受けてから一つひとつ丁寧に作られる「大黒屋本店特製くず切りセット」が名物として知られています。吉野の本葛を用いたくず切りは、その透明感と喉越しの良さが格別で、涼やかな甘さが口の中に広がり、多くのファンを魅了しています。年間を通して提供されており、一年を通してその美味しさを楽しむことができます。また、夏季にはきめ細やかでふわふわとした食感のかき氷が大人気です。宇治金時ミルクやかき氷専用の白蜜、黒蜜きなこなどの定番から、珍しいコーヒーミルク味まで、多彩な種類が揃い、特に質の良い小豆を使用した餡子は絶品と評判です。濃厚な抹茶がたっぷりかかったかき氷は、食べ進めるごとに現れる小豆の存在が喜びをもたらします。
その他にも、白玉ぜんざいやクリームぜんざい、コーヒーぜんざい、グリーンティぜんざいといった多様なぜんざいの他、あべ川もち、いそべもち、白玉きなこ、季節の上生菓子、わらび餅、そして西尾産の抹茶と和菓子のセットなど、幅広い甘味メニューが提供されています。喫茶利用の目安となる料金は、ランチ・ディナーともに一人あたり千円前後と、気軽に立ち寄れる価格帯で設定されています。
店内の座席数は、食べログの情報によると26席(2人掛けテーブル3つ、4人掛けテーブル5つ)とされており、ゆったりとした配置で落ち着いて過ごせる空間が広がっています。個室は設けられておらず、貸切も不可とされていますが、家族連れや友人同士の利用に適した雰囲気です。全席禁煙のため、誰もが快適に甘味を堪能できる環境が整っています。また、和菓子店であるため、喫茶利用だけでなく、落雁をはじめとする和菓子のテイクアウトも可能です。歴史ある店内で、伝統と革新が息づく和菓子を味わいながら、穏やかな時間を過ごせるでしょう。