中国厨房YUAN 覚王山店は、愛知県名古屋市千種区姫池通1-7 ラフォーレ姫池2Fに位置し、かつて地域の食通たちに愛された中華料理店でした。2022年4月1日にオープンし、残念ながら2023年12月30日をもって閉店いたしました。南区に本店を構える「中国厨房 YUAN」の2号店として、オープン以来、その革新的なコンセプトと身体に優しい料理で注目を集めました。名古屋市営地下鉄東山線覚王山駅から徒歩約10分とアクセスしやすい立地であり、末盛通2交差点から北へ向かった大通り沿いのビルの2階に店舗を構えていました。近隣のコインパーキング(名鉄協商、マッスルパーク、エスケーアイパークなど)と提携しており、駐車証明書を提示することでランチタイムは150円、カフェタイムは100円、ディナータイムは200円のサービスが受けられるなど、車での来店にも配慮がされていました。
「中国厨房YUAN 覚王山店」の最大の特徴は、一般的な中華料理のイメージを覆す「身体に優しいヘルシー中華」の提供でした。全ての油にコレステロール0のキャノーラ油を使用し、さらに多機能分子調理器を導入することで、揚げ物の油吸収量を平均50%もカットするという徹底したこだわりを持っていました。これにより、中華料理でありながらも「食べ過ぎても胃もたれしない」と評判で、健康志向の高い方々からも支持を得ていました。
店内は、中華料理店とは思えないほど洗練されたカフェのような空間が広がっており、おしゃれでカジュアルな雰囲気は女性客からの支持が特に高く、顧客の7割から8割が女性であったと言われています。一人でも気軽に立ち寄れるカウンター席が設けられていた他、広々としたテーブル席も完備されており、友人とのランチや女子会、ママ会など、多様なシーンで利用されていました。特に家族連れには嬉しいキッズスペースが設けられており、お子様連れでも安心して食事を楽しめる環境が整っていました。キッズチェアやキッズメニューも用意されており、お子様用チャーハン、お子様用ラーメン、お子様用おにぎり(各759円)といったメニューは、小さなお子様を連れたご家族にとって大変魅力的なものでした。
メニューの中心は、多くのメディアでも紹介され、その名の通り「ふわふわとろとろ」の食感が特徴であった「ふわとろ天津飯」でした。卵をナイフで開くと、中からとろりとした半熟卵が現れ、その上にはカニとフカヒレが贅沢に使われた熱々の餡がたっぷりとかけられていました。また、「ふわとろ天津飯」と並ぶ二大名物として人気を博したのが「濃厚胡麻担々麺」です。こちらは、さっぱりとしたクリーミーな「塩味」と、コク深い「醤油味」の2種類から選ぶことができ、全粒粉麺を使用することで小麦本来の香りも楽しめる逸品でした。最も人気のある「YUAN SET」は、この「ふわとろ天津飯」と「濃厚胡麻担々麺」を一度に味わえる豪華なセットで、1,639円(税込)で提供されていました。他にも、「ふわとろ天津飯SET」(1,529円)、「油淋鶏SET」(1,419円)、「石焼四川麻婆豆腐SET」(1,529円)、「黒酢酢豚SET」(1,529円)、「海老チリSET」(1,639円)など、多彩なランチセットが用意されており、休日はそれぞれ110円増しとなっていました。ランチセットにはドリンクバーがサービスで付いてくるなど、きめ細やかなサービスも人気の一因でした。夜の時間帯にもセットメニューやコース料理が提供されており、幅広い客層に合わせた多様な利用シーンを提案していました。
健康への配慮と洗練された空間、そしてメディアにも取り上げられた名物料理で、覚王山エリアの中華料理シーンに新たな風を吹き込んだ存在でしたが、その歴史は惜しまれつつ幕を閉じました。覚王山で「身体に優しい中華」を提供したその功績は、多くの人々の記憶に残るでしょう。