かつて愛知県名古屋市千種区猫洞通に位置していた「べこや 本山店」は、地下鉄本山駅から徒歩わずか2分、本山駅1番出口からは徒歩1分という利便性の高い立地で、猫洞通沿いの左手に黒い外壁の古民家風の建物が特徴的でした。2019年7月20日にオープンしましたが、残念ながら既に閉店しており、その跡地には2023年9月15日に「焼き鳥きんざん 本山店」が開店しています。
営業時には、和洋折衷の落ち着いた空間が広がり、どこか大正時代の建築を思わせるレトロで大人の雰囲気が漂っていました。店内は52席を擁し、少人数での利用はもちろん、団体での利用も可能なスペースが設けられていました。特にカウンター席はオープンキッチン感覚で、この店の大きな魅力であった炉端焼きの調理風景や香りを間近で楽しむことができ、ライブ感あふれる食体験を提供していました。名古屋駅や藤が丘にある系列店とは異なり、女性客を意識したメニュー展開や、本山店でしか味わえないオリジナルメニューが多数用意されていた点も特徴の一つでした。落ち着いた雰囲気の中で、肩肘張らずにリーズナブルな価格で本格的な肉料理を楽しめる場所として親しまれていました。
提供されていた料理は、店名に「べこ」とある通り、牛肉を中心とした肉料理が中心でしたが、魚料理も自慢としていました。特に人気を集めていたのは、「仙台牛たんの炭火焼き」でした。これは1,180円(税別)で提供され、分厚く6切れの牛たんをにんにく、生姜、青唐辛子味噌といった付け合わせと共に楽しむことができました。柔らかさの中にも程よい弾力があり、肉本来の甘みが口の中に広がる逸品で、塩胡椒のシンプルな味付けが素材の良さを引き立てていました。
前菜として好評だった「鶏の白レバー刺し」は、580円(税別)で提供されていました。低温調理で滅菌処理が施されており、生感覚で味わえる点が特徴でした。太白胡麻油と塩を合わせた専用のタレが、とろりと柔らかくなめらかなレバーの風味を一層引き立て、口の中でとろけるような食感を提供していました。
また、牛や豚の肉料理に負けず劣らずの人気を誇ったのが「本鰹の藁(わら)焼き」で、1,080円(税別)でした。藁の炎で燻すことにより独特の香りがつき、分厚いサイズの鰹を贅沢に味わうことができました。外側は香ばしく焼き上げられ、中はレアな状態という見た目の美しさだけでなく、口の中で心地よい食感のグラデーションが楽しめたと評されていました。
本山店限定のオリジナルメニューとして提供されていたのが「塊肉のポルケッタ」で、1,500円(税別)でした。豪華な豚の肩バラ肉を使用しており、さっぱりとしつつも絶妙な脂感が特徴でした。バジルソース、ライプオリーブソース、粒マスタードの3種類のソースと共に提供され、ワイルドな塊肉をおしゃれに楽しめる工夫が凝らされていました。
他にも、3種類のスモークカルパッチョがボリュームたっぷりに1380円で提供され、お得感があるとの声も聞かれました。一口サイズの濃厚なクリームチーズと和と洋がコラボした「食べたら分かる!チーズそぼろ」もおつまみとして人気でした。
ドリンクメニューも充実しており、「キリン一番搾り生」をはじめとするビールや、様々なアルコール類が豊富に揃えられていました。開店から19時までは生ビールやハイボール、酎ハイ、グラスワインが半額になるサービスも行われており、気軽に立ち寄って楽しめる居酒屋としても利用されていました。
座席については、掘りごたつ式の個室も用意されており、暖かみのある照明が心地よいプライベート空間を演出していました。落ち着いた和の空間で、ゆったりと食事を堪能できる設えとなっていました。