石川県鳳珠郡能登町波並、国道249号線沿いに位置していた「249(ニーヨンキュー)」は、雄大な富山湾の眺めを望む絶景のロケーションで、かつて訪れる人々に特別な食体験を提供していました。古民家をリノベーションした店内は、心地よいジャズが流れる洗練された空間であり、目の前に広がる海を借景とした開放的な雰囲気が特徴でした。この地で店を構えたのは、東京都内の星付きレストランで経験を積んだオーナーシェフの小向慎平氏です。能登の豊かな里山里海の恵みに魅せられ、発酵食品への深い興味からこの場所を選び、地元能登の厳選食材をふんだんに用いたフランス料理やイタリア料理の技法を取り入れた創作料理を提供していました。一皿一皿には能登の気候風土や文化が息づき、ここでしか味わえないテロワール料理が多くの美食家を惹きつけていました。
アクセスについては、北陸鉄道バスの「三波」バス停から徒歩約2分という利便性の高い場所にあり、能登空港からは車で約30分でアクセスできました。敷地内には専用の駐車場も完備されており、車での来店も容易でした。
営業時間はランチタイムとディナータイムに分かれており、ランチは午前11時から午後5時まで(ラストオーダーは午後4時30分)、ディナーは午後6時から午後10時まで(ラストオーダーは午後9時30分)でした。ディナーは完全予約制で、フルコースの提供や貸し切りでのイベント利用にも対応していました。定休日は毎週水曜日で、1月と2月には冬季休業期間が設けられていました。平均予算は、ランチが2,000円程度、ディナーは8,000円から13,000円程度でした。
提供されていたメニューは多岐にわたりました。ランチタイムには、本場イタリアの雰囲気を味わえるピッツァやコーヒーが中心でした。自家製のナポリピッツァや季節のピッツァに加え、定番のマルゲリータや能登のこんかいわしやシラスを使ったオリジナルマリナーラ、4種類のチーズを贅沢に使ったクアトロフォルマッジ、日替わりの気まぐれピッツァなどが提供されていました。イタリア最高級のコーヒー豆「KIMBO」を使用したエスプレッソをはじめ、カプチーノ、アメリカーノ、キャラメルラテなどのコーヒー各種、フィンガービスケットやアマレッティといった焼き菓子も楽しめました。ディナータイムは、毎日1組限定の完全貸し切りで、地元の食材を贅沢に使用したフランス創作料理のフルコースが提供され、プライベートな空間で心ゆくまで美食を堪能できるのが特徴でした。ワインにも強いこだわりがあり、イタリアやフランスをはじめ世界各国のユニークなワインが豊富に取り揃えられており、コース料理に合わせた5種類のワインペアリングも人気でした。能登の日本酒も厳選されたものが用意され、魚料理に特に力を入れている点も特筆すべきでした。
座席数は18席で、ゆったりとしたテーブル席が中心でした。7名以上で利用可能な半個室が設けられており、ソファー席やオープンテラス席も完備され、様々なシーンに対応できる設えでした。店内は全席禁煙で、貸し切り利用も可能でした。
「249」では、特別なサービスも充実していました。ディナータイムの完全貸し切り利用は、大切な人との記念日や特別な会食に最適で、プライベート感を重視するニーズに応えていました。また、お店の二階には宿泊施設が併設されており、食事の後にそのまま滞在できるというユニークなサービスも提供されていました。さらに、すぐ隣には一棟貸し切りの総檜風呂付きゲストハウス「BY THE SEA NOTO」もあり、宿泊と合わせて能登の魅力を深く体験することができました。お祝いやサプライズの演出も可能で、バースデープレートの提供なども行われていました。珍しいサービスとして、ドリンクの持ち込みも可能でした。お子様連れでの来店も歓迎されており、乳児や未就学児、小学生も入店可能で、ベビーカーでの入店もできるよう配慮されていました。クレジットカード決済(VISA、Mastercard、AMEX、JCB)やPayPayなどのQRコード決済にも対応し、無料Wi-Fiも利用できるなど、利便性も兼ね備えていました。外国語対応も可能で、国内外からの訪問者にとって安心して利用できる環境が整っていました。
しかしながら、「249」は2024年8月末をもって閉店しました。この情報は公式ホームページの「お知らせ」にて公表されており、2025年4月時点でも関連する情報源でその閉鎖が確認されています。素晴らしい海の景色と共に能登の豊かな食材を活かした創作料理と、細やかなサービスで多くの人々に愛された「249」は、惜しまれつつその歴史に幕を閉じました。