東京都渋谷区恵比寿南に位置し、博多もつ鍋の専門店として親しまれていた「博多もつ鍋 龍 恵比寿店」は、2025年3月22日をもって営業を終了しました。かつてはJR恵比寿駅西口から徒歩わずか1分から2分、地下鉄日比谷線恵比寿駅からは徒歩1分の好立地にあり、恵比寿銀座通りから少し入ったビルの地下1階に佇む隠れ家のような存在として、多くの人々に愛されていました。白い提灯が目印となり、知る人ぞ知る名店として、落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しめる空間を提供していました。
この店は、博多で20年間愛され続けた「幻の名店」の味を東京で楽しめることをコンセプトとしていました。店内は照明を控えめにし、シックでモダンな和のテイストが融合したおしゃれな空間で、特に女性同士やカップルでの利用に適した雰囲気でした。かつてのリニューアルでは、全てのフードメニューがハラール対応となり、国産のハラール認証を受けた高品質な牛もつを使用していたことは、多様な客層に配慮した特徴的なサービスの一つでした。ドリンクメニューにはアルコールも含まれていましたが、食事はムスリムフレンドリーな内容で提供され、英語を含む複数言語のメニューも用意されていました。
「博多もつ鍋 龍 恵比寿店」の看板メニューは、「龍 秘伝のタレ」と称されるピリ辛もつ鍋でした。このもつ鍋は、食欲をそそるニンニクの香りと鷹の爪の爽やかな辛さが特徴で、博多の伝統的な味わいを堪能できました。他にも、五種類の塩と黒胡椒を利かせた「特製薬膳塩スープ」や、鶏と和風だしが効いた「昔ながらの醤油スープ」など、趣の異なるもつ鍋が提供されていました。使用される和牛のもつは丁寧に下処理されており、ぷりぷりとした食感が魅力で、キャベツやニラ、もやしといった野菜もたっぷり入っていました。もつ鍋は基本的に二人前から注文可能で、追加のもつや野菜、豆腐、鶏だんごなども用意されており、締めにはチャンポン麺や雑炊が人気でした。
もつ鍋以外の逸品料理も充実しており、特に人気だったのは、ふわふわで半熟に仕上げられた「マヨネーズめんたいの玉子焼き」でした。また、アツアツぷりぷりのもつと辛味噌の組み合わせが絶妙な「国産もつの辛味噌焼き」も、お酒が進む一品として好評でした。この他にも、和風塩味の鶏の唐揚げや国産ハラール認証牛を使用した牛串、新鮮な馬刺し、じっくり煮込んだ牛タンと牛すじの味噌煮込みなど、博多の味覚や居酒屋の定番メニューが揃っていました。
店内の座席は、カウンター席、テーブル席、そしてプライベートな空間を確保できる半個室が設けられていました。総席数は時期によって異なる情報も見られましたが、カウンター席やテーブル席の他に、3名から5名程度で利用できる半個室や、女子会や会食に適した4名様テーブル席、さらには7名から9名程度の打ち上げなどにも対応できるスペースがありました。ただし、2名での個室利用は希望に応えられない場合もありました。全席で加熱式たばこに限り喫煙が可能だったため、喫煙者にとっては利便性の高い環境でした。無料Wi-Fiも完備されており、各種クレジットカード、電子マネー、PayPayなどのQRコード決済にも対応し、インボイス対応の領収書発行も可能でした。未成年者の入店は断っていたため、大人向けの落ち着いた空間が保たれていました。平均的なディナー予算は5,000円から8,000円程度でした。月曜日から金曜日は夕方5時から夜11時まで、土曜日と祝日は夕方5時から夜10時半頃まで営業し、日曜日は定休日でした。恵比寿の地で本場の博多もつ鍋の味を提供し続けた「博多もつ鍋 龍 恵比寿店」は、その歴史に幕を閉じましたが、かつての顧客の記憶には、その秘伝の味と心温まる空間が刻まれていることでしょう。
