東京都中央区銀座1-6-15に位置し、電話番号03-3561-7718で知られていた「三州屋 銀座一丁目店」は、2023年9月16日をもって、建物の老朽化と取り壊し工事のため惜しまれつつ閉店しました。50年以上にわたり銀座の地で愛され続けた大衆割烹として、多くの人々に親しまれてきた歴史があります。この店舗は、有楽町線銀座一丁目駅から徒歩わずか1分とアクセスに恵まれた立地にあり、JR有楽町駅からも徒歩約5分圏内という利便性の高さも魅力の一つでした。
かつての「三州屋 銀座一丁目店」は、銀座という土地柄にありながら、古き良き昭和の雰囲気を色濃く残す大衆的な空間として、その存在感を放っていました。店内は2フロア構成で、1階にはカウンター席と、複数名での利用に適したテーブル席が設けられていました。明るく朗らかな空気感が特徴で、銀座の喧騒から一歩足を踏み入れると、どこか懐かしい時間が流れるような、温かい空間が広がっていたと多くの利用者が語っています。
この店を象徴する特徴として、毎朝豊洲(旧築地)市場から仕入れられる新鮮な魚介類を惜しみなく提供していた点が挙げられます。特に、三州屋名物として知られる「金目煮付定食」は、その味わい深さから絶大な人気を誇りました。また、「鳥豆腐」も看板メニューの一つで、出汁の効いた優しい味わいが多くの常連客を惹きつけていました。季節ごとに登場するフライ料理も特筆すべき点で、特に冬場に提供される「カキフライ定食」や定番の「アジフライ定食」は、サクサクとした衣と新鮮な素材の旨みが凝縮された逸品として評判でした。ランチタイムは定食メニューが充実しており、おおよそ1,000円台から1,500円程度の価格帯で、銀座においては非常にリーズナブルに質の高い和食を楽しめる場所として重宝されました。夜の時間帯には、居酒屋として多くのビジネスパーソンや銀座で働く人々が訪れ、新鮮な魚料理とともに美酒を酌み交わす光景が見られました。
この店舗は、若い層だけでなく、高年齢層の利用者にも特に人気があり、その安定した美味しさと居心地の良さから、昼夜を問わず賑わいを見せていました。相席となることもありましたが、それもまた大衆割烹ならではの活気として受け入れられていました。座席の種類としては、特別な個室やソファ席の設置は確認できませんでしたが、カジュアルながらも落ち着いて食事ができる空間が提供されていました。
現在は閉店しておりますが、この場所で培われた「三州屋」の精神は、近隣の「大衆割烹 三州屋 銀座本店」(東京都中央区銀座2-3-4)に引き継がれています。銀座一丁目店の跡地における今後の出店計画については、現時点では未定とされていますが、その動向が注目されています。銀座の街に根ざした大衆割烹の文化を体現していた「三州屋 銀座一丁目店」は、多くの人々の記憶に残る名店として、その歴史に名を刻んでいます。