大阪府堺市堺区翁橋町、堺市民芸術文化ホール「フェニーチェ堺」の敷地内に位置していた「TEATRO PONTE VECCHIO(テアトロ ポンテベッキオ)」は、関西を代表するイタリアンレストラン「ポンテベッキオ」グループが手掛ける店舗として、2019年7月5日にオープンしました。南海電鉄高野線 堺東駅からは徒歩およそ8分から10分圏内にあり、文化施設に隣接する立地でありながら、本格的なイタリア料理をカジュアルに楽しめる場として親しまれていました。
「劇場(テアトロ)」という名が示す通り、訪れる人々に豊かな食体験を提供するというコンセプトのもと運営されていました。店内は明るく開放的な雰囲気で、大きな窓からは自然光がたっぷりと差し込み、心地よい空間が広がっていました。席と席の間隔もゆったりと確保されており、周囲を気にすることなく落ち着いて食事の時間を過ごすことができました。テーブル席が中心でしたが、接待や特別な会食にも利用できる個室も複数完備されており、最大8名まで収容可能な部屋がありました。また、気候の良い時期にはテラス席も利用できたようです。
提供されていた料理は、ポンテベッキオグループならではの質の高さと、テアトロ ポンテベッキオ独自のカジュアルさが融合したものでした。特に、ナポリから取り寄せたという薪窯で焼き上げる本格的なナポリピッツァは、お店の看板メニューの一つでした。高温の薪窯で素早く焼き上げられたピッツァは、香ばしい生地の風味と、外はカリッと中はもっちりとした食感が特徴で、多くの来店客を魅了しました。定番のマルゲリータをはじめ、旬の食材を活かした季節限定のピッツァも提供されていました。ピッツァのサイズはSとRがあり、例えばマルゲリータはSサイズが980円、Rサイズが1400円で提供されていました。
ピッツァと並ぶもう一つの柱として、炭火焼き料理がありました。専用の炭火焼きロースターを使用し、厳選された肉や魚介をじっくりと丁寧に焼き上げていました。国産牛の炭火ローストやミルク漬け仔羊、旬の魚の炭火焼きなどがあり、素材本来の旨味を最大限に引き出したシンプルな調理法で提供されていました。パスタ料理も充実しており、手打ちパスタや、じっくり煮込んだソースを使ったものなど、本格的な味わいが楽しめました。
メニューはランチタイムとディナータイムで異なり、多様なニーズに対応していました。ランチタイムには、ピッツァまたはパスタに、野菜料理、パン、カフェ、小菓子が付いたセットメニューが中心で、価格帯は1000円台から用意されており、気軽に高品質なイタリアンを楽しめるとして人気でした。さらにデザートやメインディッシュ(肉または魚)を追加できる、より充実したコースもあり、こちらは3000円から4000円程度の価格でした。ディナータイムはアラカルトメニューが豊富で、前菜からパスタ、ピッツァ、メイン料理、ドルチェまで、幅広い選択肢がありました。アラカルトの一例としては、正統派ミネストローネ(800円)、カプレーゼ(1500円)、イタリア産生ハムとサラミの盛り合わせ(2100円)などがありました。ディナーコースも用意されており、おまかせコースは1万円程度で提供され、特別な日の食事にも利用されていました。ドリンクメニューではイタリアワインが豊富に揃えられており、料理との相性を考えながら選ぶ楽しみがありました。
フェニーチェ堺の公演に合わせて利用しやすいように、カフェタイムが設けられていた時期もありました。また、フェニーチェ堺の駐車場を利用した顧客向けに、レストランでの利用金額に応じた駐車料金の割引サービスも提供されていました。本格的ながらもカジュアルなスタイルで、美味しいイタリア料理を提供し続けたTEATRO PONTE VECCIOでしたが、2024年3月28日をもって閉店いたしました。