福岡市早良区高取、地下鉄空港線「藤崎駅」から徒歩約4分の場所に店を構える「日本酒食堂 吟乃灯(ぎんのともし)」。店名はかつて「日本酒と旨味 吟乃灯」として営業していたが、リニューアルを経て現在の屋号となっている。日本酒を愛する人々が集うこの店は、全国各地から厳選された日本酒と、その魅力を最大限に引き出す創作和食が楽しめる大人のための居酒屋として知られている。
この店の最大の特徴は、なんといってもその圧倒的な日本酒の品揃えにある。唎酒師と日本酒ソムリエの資格を持つ店主が自ら目利きし、年間で約1000種類もの銘柄を扱うというから驚きだ。店内には常時50種類以上の日本酒が用意されており、北から南まで、有名な銘柄はもちろん、若手の蔵元が醸す珍しい一本や季節限定酒など、訪れるたびに新たな出合いが待っている。日本酒初心者から熟練の愛好家まで、誰もが楽しめるようにと、「日本酒三点飲み比べ」(1,280円・税込)のようなメニューも用意。好みを伝えれば、店主が料理との最適なペアリングを提案してくれるのも嬉しいポイントだ。
料理は「日本酒に合う」ことを信条に、出汁の旨味を大切にした小皿料理が中心。化学的な観点からも日本酒と出汁の主成分が同じアミノ酸であることに着目し、塩分よりも香りや旨味、素材そのものの持ち味を生かすことを意識している。看板メニューの一つ「お酒のあて盛り合わせ」(1,380円・税込)は、旬の食材を使った4〜5種類のお惣菜が美しく盛り付けられ、少しずつ多様な味を楽しみたい酒呑みにはたまらない一品。内容は日替わりで、訪れるたびに季節を感じさせてくれる。
その他にも、新鮮な魚介を堪能できる「お刺身盛り合わせ」(1,080円〜・税込)や、鰹出汁で牛すじと大根を丁寧に炊き合わせた「牛すじ大根」(780円・税込)、女性に人気の「ドライいちじく入り酒粕クリームチーズ」(580円・税込)、「雲丹醤油ポテサラ」(650円・税込)など、趣向を凝らしたメニューが並ぶ。〆には、鶏ガラと数種類の部位からとった濃厚スープに鰹出汁を加えた「自家製鶏白湯ラーメン」(小680円・税込)も用意されており、最後まで満足度の高い食体験を提供してくれる。
店内はカウンター8席とテーブル席が数卓(2名用×1、4名用×1)の合計14席と、こぢんまりとしながらも落ち着いた和の空間が広がる。広めに作られたカウンター席は、一人で訪れても、店主との会話を楽しみながらゆったりと過ごすことができる特等席だ。全席禁煙で、店の外に灰皿が設置されている。貸切は8名から相談可能。特別なサービスとして、日本酒に合うおつまみのテイクアウトも行っているため、自宅での晩酌を豊かに彩ることもできる。
支払いは各種クレジットカード、PayPayなどのQRコード決済、Suicaなどの電子マネーにも対応している。営業時間は17時から24時まで(料理L.O. 23:00、ドリンクL.O. 23:30)で、定休日は日曜日。連休の場合は最終日が休みとなる。日本酒の奥深い世界と、それに寄り添う旨味あふれる料理とのマリアージュを心ゆくまで堪能できる、福岡の日本酒好きにとっての聖地ともいえる一軒である。