香川県綾歌郡宇多津町浜二番丁16に位置していた「日乃屋カレー 宇多津店」は、かつて多くのカレー愛好家に親しまれた日本風カレーの専門店でした。JR本四備讃線(瀬戸大橋線)宇多津駅から徒歩およそ5分から6分(約333m~460m)の距離にあり、イオンタウン宇多津の敷地内に店舗を構えていたため、車でのアクセスも良好で、店舗前やイオンタウンの広大な駐車場を利用できる利便性がありました。2021年2月1日に香川県内で初出店としてオープンし、その独特なカレーで地域に新たな食の選択肢を提供していました。
「始まり甘く、後より辛い、余韻残りしカレールウ」というコンセプトを掲げ、日乃屋カレーは、日本人が昔から慣れ親しんできた、懐かしくも奥深い味わいのカレーを追求していました。厳選された肉は西日本から、野菜は季節ごとに全国から最適なものが選ばれ、卵には特定のブランド品を使用するなど、素材へのこだわりが強く感じられました。また、スパイスの調合も複雑で、まさに職人の技が光る手作りの一品が提供されていました。そのルウは、一口目は甘みを感じるものの、食べ進めるうちにじわじわとスパイシーな辛さが追いかけてくるという、特徴的な味の変化が楽しめました。昭和レトロな雰囲気が漂う落ち着いた店内は、黒を基調としたスタイリッシュな空間であり、食事に集中できる環境が整えられていました。
かつての店内には、カウンター席が10席から12席、4人掛けのテーブル席が8つ設けられ、合計で42席と十分な座席数が確保されており、一人での利用から家族連れまで、様々なシーンに対応できるレイアウトでした。個室の用意はありませんでしたが、カウンター席は一人でも気軽に利用しやすく、また、バリアフリーに対応した空間設計がなされていたため、幅広い層の来店客に配慮されていました。注文は食券制で、出来上がると番号で呼ばれ、カウンターで料理を受け取るハーフセルフサービス形式がとられていました。食後には食器を返却するシステムでした。
メニューは非常に豊富で、20種類以上のレギュラーメニューと、同じく20種類以上のトッピングが用意されており、組み合わせ次第で無限大のカスタマイズが可能でした。特に人気があったのは、カレーとの相性が抜群の名物カツカレーで、そのボリューム感も評価されていました。その他、たっぷりの温野菜がのった温野菜カレーは女性からの支持を集め、エビ・フィッシュ、ほうれん草、温泉卵などを自由に組み合わせられるスペシャルカレーも多くの利用客に楽しまれていました。ライスは大盛りが無料で提供され、辛口が苦手な方やお子様向けには甘口の選択肢も用意されていました。主なカレーの価格帯は、温野菜カレーや名物カツカレーが880円(税込)、スペシャルカレーが1,250円(税込)などと設定されていましたが、時期によって変動や税抜表示もあり、名物カツカレーは920円(税抜)や860円(当時の税込価格)であったとの記録も残されています。牛スジ煮込みカレーは1020円(税抜)、肉屋のハンバーグカレーは920円(税抜)といったメニューもありました。
また、特別なサービスとして、テーブルには密かに天かすが置かれており、これをカレーにトッピングすることで、さらに違った味わいを試すことができるというユニークな「ちょい足しアレンジ」が提供されていました。さらに、特定の提携団体である「一般社団法人赤ひげ倶楽部」の会員証提示により、サラダサービスが受けられるという特典も存在していました。
しかしながら、「日乃屋カレー 宇多津店」は、2024年9月以降に惜しまれつつも閉店しており、その場所には現在、別のラーメン店が営業しています。これにより、かつて提供されていたこれらのサービスやメニューは、現在利用することはできません。