岐阜県美濃加茂市に位置していた「まちベンチ美濃太田ラボ」は、かつて地域コミュニティと訪問者をつなぐユニークな拠点として機能していました。岐阜県美濃加茂市太田町2533-2 オレンジビル1階にその姿があり、JR美濃太田駅南口から徒歩わずか1分という、極めてアクセスしやすい立地が特徴でした。地域からの問い合わせは電話番号0574-26-0648で受け付けていました。
この施設は、単なる飲食店や物販店にとどまらず、合同会社カモケンラボによって運営される「まちづくり実験の拠点」としての側面を強く持っていました。そのコンセプトは、美濃加茂市を訪れる人々や地元住民が気軽に立ち寄り、休憩したり、地域情報を得たり、新しい体験を共有できる「まちのベンチ」のような場を提供することにありました。店内には、季節ごとに変わる絵本や素敵な飾りが並べられ、訪れる人々に温かく心地よい空間を提供していました。これにより、地元の魅力を発信するアンテナショップとしての役割も担っていたと言えます。
「まちベンチ美濃太田ラボ」の主要なサービスの一つは、電動アシスト自転車のシェアサイクルシステム「CHARI-KAMO(チャリカモ)」の受付窓口としての機能でした。美濃太田駅前での店頭申込が可能で、観光客や地元住民が美濃加茂市内を快適に移動するための手段を提供していました。利用料金は、30分ごとに100円(上限1,200円/回)の1回プランや、1日1,200円の1日プラン、2時間500円のプランなど、利用者のニーズに合わせて選択できる複数の料金体系が用意されていました。ICカード、クレジットカード、ドコモケータイ払い、現金など多様な支払方法に対応しており、利便性が重視されていました。
また、訪れる人々に憩いの時間を提供する軽食として、こだわりのソフトクリームも販売されていました。特に注目を集めたのは、地元の食材を積極的に活用し、美濃加茂市内の高校生など若者で構成されたチームが企画・販売を行う限定ソフトクリームでした。これにより、若者の地域活動への参加を促し、新たな地域産品の魅力を発見・発信する場としても機能していました。濃厚なほうじ茶ソフトクリームが提供された事例もあり、その品質と地域の特色を活かした取り組みは好評を博していました。ソフトクリームなどの軽食が中心であったため、利用は千円未満の価格帯が目安でした。
座席に関する詳細な情報は確認できませんが、休憩スペースとしての機能も兼ねていたことから、簡易的な座席が設けられていたと推測されます。店内は禁煙であったとされており、清潔で快適な環境が保たれていました。
「まちベンチ美濃太田ラボ」は、レンタサイクルサービスや地域情報の発信、そして地域と連携した軽食の提供を通じて、美濃加茂市という地域に新たな賑わいと交流を生み出すことを目指していました。美濃太田駅を降りてすぐという絶好のロケーションで、地域を訪れる人々にとっての玄関口として、また地元住民にとっては日常の中でふと立ち寄れる親しみやすい存在として、その役割を果たしていました。しかしながら、現在、この店舗はすでに閉店していると報じられています。かつての賑わいは、美濃加茂市のまちづくりにおける一つの試みとして記憶されています。