富山県富山市黒瀬北町1-2-2という住所で、かつて地域の食文化の一端を担っていた「ステーキ宮 富山黒瀬店」は、多くの利用客に親しまれたステーキレストランチェーンでしたが、2025年1月29日をもって営業を終了し、その歴史に幕を閉じました。富山県内では唯一の店舗として営業していたため、その閉店は多くの地元住民にとって残念なニュースとなりました。
かつて同店が営業していた頃は、富山地鉄市内本線「堀川小泉駅」から徒歩で約21分とやや距離があるものの、北陸自動車道「富山IC」からは車でわずか約1.8kmというアクセスしやすい立地でした。また、広々とした駐車場を完備しており、車での来店が非常に便利で、休日には多くの車が停められていました。近隣には大型の商業施設なども点在し、食事と買い物を合わせて楽しめるエリアに位置していました。
「ステーキ宮」は1975年に栃木県宇都宮市で創業し、「ステーキの大衆化」を掲げて、手頃な価格で高品質なステーキを提供するというコンセプトで全国展開を進めていました。富山黒瀬店もそのコンセプトを踏襲し、安心安全な食材を用いたステーキと自家製ハンバーグを主力メニューとして提供していました。特に、創業以来変わらない秘伝の「宮のたれ」は、熱々の鉄板で提供されるステーキにかけると、香ばしい香りが広がり、肉の旨みを一層引き立てると評判でした。
メニュー構成は、ステーキ、ハンバーグ、チキングリルが中心で、ランチとディナーで異なる価格帯が設定されていました。ランチの平均予算は1,000円から1,999円、ディナーは2,000円から2,999円程度で、本格的な肉料理をリーズナブルに楽しめる点が魅力でした。具体的なメニューとしては、自家製ハンバーグや宮ロース、ひとくちてっぱんステーキなどがあり、ハンバーグとステーキのコンボランチも人気を集めていました。お子様ランチも充実しており、290円という手頃な価格で提供され、小さな子供でも楽しめる工夫がされていました。
「ステーキ宮 富山黒瀬店」の大きな特徴の一つは、メイン料理に加えて提供されていた充実したバーサービスでした。新鮮な野菜が豊富に並ぶサラダバー、数種類のスープが楽しめるスープバー、多彩なドリンクが揃うドリンクバー、そしてご飯がおかわり自由なライスバーが提供されており、これらは利用客から大変好評を博していました。特にサラダバーのドレッシングの種類が豊富であることや、ドリンクバーのスムージーが他ではなかなか味わえないと評価する声もあり、メイン料理が運ばれてくるまでの時間も、飽きることなく楽しむことができました。
店内は、総席数132席という広々とした空間で、ゆったりと食事ができるソファ席も多数用意されていました。そのため、家族連れや友人同士のグループでの利用にも非常に適しており、落ち着いた雰囲気の中で食事を堪能できる環境でした。お子様連れの利用客からは、広々とした座席で子供がゆったりと過ごせる点や、離乳食を持ち込むことができた点など、細やかな配慮が評価されていました。また、食事中にステーキを再加熱できるペレットが提供されるサービスもあり、常に熱々の状態でステーキを味わえる工夫がされていました。
特別なサービスとして、夜10時以降の利用には深夜料金として利用金額の10%が加算される仕組みがありました。また、時代のニーズに合わせて、店舗での持ち帰り注文はウェブサイトから可能であり、出前館やUber Eatsといったデリバリーサービスを通じても、自宅で手軽に「ステーキ宮」の味を楽しむことができました。店舗では、感染症対策として、サラダバーなどの利用時にはマスクと手袋の着用が必須とされるなど、衛生面への配慮も徹底されていました。
2025年に創業50周年を迎える「ステーキ宮」ブランド全体としては、「次の50年に向けて」地域に根差したレストランとしての取り組みを進めていましたが、富山県唯一の店舗であった富山黒瀬店は、惜しまれつつも閉店となりました。現在、この店舗跡地には「かっぱ寿司 富山黒瀬店」が2025年6月18日にオープンする予定であり、新たな飲食店の歴史が刻まれることになります。