東京都中央区日本橋人形町に佇む「きく家」は、人形町駅から徒歩わずか1分から3分という利便性の高い場所に位置し、東京メトロ日比谷線人形町駅A6出口からは特にアクセスしやすいのが特徴です。1981年の開業以来、多くの食通に愛されてきた日本料理の老舗として知られています。
店主の志賀真二氏は、家業が大工であった経験を活かし、「店は料理の器と同じ」という哲学のもと、自らの手で三半年の歳月をかけて店舗を設計し、作り上げました。そのため、店内は歴史を感じさせる落ち着いた佇まいと、心地よい木の香りに包まれた空間が広がっており、訪れる人々にゆったりとした時間を提供しています。この細部までこだわった空間は、接待や記念日といった特別な日の利用にも最適とされています。
「きく家」の料理は、決まった献立を持たない点が大きな特徴です。その日に仕入れる旬の食材と真摯に向き合い、顔の見える漁師や農家から届く力強い素材を最大限に活かした「おまかせコース」のみを提供しています。素材本来の持ち味を引き出すため、砂糖やみりんをほとんど使わず、ほんのわずかな塩や醤油で繊細な味わいを表現します。ホヤを塩だけでシンプルに仕立てたり、2時間ほど干して食感を活かしたウルメイワシ、さらにはトマトにウニを合わせた蒸し物やゴボウのソースを添えた焼物など、伝統的な日本料理の中に意外性のあるアイデアが垣間見え、訪れるたびに新たな発見があるでしょう。
料金は、カウンター席での「おまかせコース」が8,000円から、個室利用の「おまかせコース」が16,000円からとなっており、これに別途サービス料が10%加算されます。昼の営業は前日までの予約制でコース料理のみの提供です。
座席は、料理人の手元を間近に見られるカウンター席が6席設けられており、お一人様でも気軽に利用できる雰囲気です。また、掘りごたつ式のお座敷を含む個室が複数用意されており、二名から十名まで対応可能な六つの部屋は、それぞれ趣の異なる設えとなっています。ゆったりと気兼ねなく食事を楽しめるため、大切な方との接待や親しい友人との会食に最適です。
「きく家」のもう一つの大きな魅力は、日本酒へのひとかたならぬこだわりです。単なる料亭ではなく「酒亭」と称されるほどで、地下の貯蔵庫で三から六年もの間寝かせた、落ち着きと深みのある日本酒を三十種から五十種ほど常時用意しています。女将が料理との相性を考え、一皿ごとに最適な清酒を提供し、その説明も丁寧に行われるため、日本酒愛好家にとっては至福のひとときとなるでしょう。食材へのこだわり、空間への配慮、そして日本酒との最高のペアリングを提供する「きく家」は、東京人形町で真の日本料理と和の粋を堪能できる場所です。