東京都足立区神明南1-1-8に位置する「クルム」は、かつて地域の人々に親しまれた、ロールケーキと昭和レトロな雑貨を取り扱う、隠れ家のような洋菓子店でした。最寄り駅はつくばエクスプレスの六町駅で、A2出口からは徒歩約14分、およそ545メートルの距離にありました。また、東京メトロ千代田線の北綾瀬駅からは徒歩約20分、さらに北加平バス停からは徒歩約3分というアクセスで、静かな住宅街の中に佇む、その白いストライプの庇とレトロな青い看板が可愛らしい目印となっていました。
「クルム」という店名は、主力商品であるロールケーキを「包む」という言葉に由来し、その名の通り、一つ一つ丁寧に手作りされたお菓子が特徴でした。店舗を構えていた際には、素材の味を大切にした優しい味わいのロールケーキが特に人気を集め、遠方から訪れるファンもいたほどです。メニューの中心は「生ロール」や「生ロールショコラ」といったロールケーキで、利用者からは「大人の味わい」と評され、紅茶にもよく合うと評判でした。ロールケーキ以外にも、香ばしい「フロランタン」や「ガレット」なども好評で、手土産や贈り物としても喜ばれていました。焼き菓子類も提供されており、その見かけによらず手頃な価格であったとされています。テイクアウト専門店として運営されており、過去の利用者の口コミからは、一人あたりの料金が1,000円から1,999円程度であったことがうかがえます。
店内にはイートインスペースのような小さなカウンターがあったとされていますが、基本的にはテイクアウトを専門とする店舗であり、個室やソファ席といった飲食のための座席は設けられていませんでした。特別なサービスとしては、お菓子の受け取りを希望する日の3〜5日前までに予約が可能で、受け取り時間についても12時から18時頃までで相談に応じていました。公式ホームページや店頭、または電話での問い合わせに対応していましたが、作業中や接客中は電話に出られないこともありました。また、LINEで友だち追加をすることで予約がよりスムーズに行えるような仕組みも導入されていました。かつてはスタンプカードを発行しており、店舗閉店の際には割引サービスも提供されました。
店舗は、2019年6月6日にオープンし、当初は週2〜3日程度の営業で、ロールケーキがなくなり次第閉店するというスタイルでした。主な営業日は木曜日から土曜日で、営業時間は11時から17時まででしたが、早期に売り切れることも多かったようです。駐車場は設けられていませんでした。
しかしながら、「クルム」は、2023年10月27日をもって実店舗での営業を終了し、「店舗を持たないお菓子屋さん」として活動していくことを発表しました。これに伴い、既存の店舗はレンタルキッチンとしての運営が予定されており、今後はオンラインでの販売や、別の形で活動を継続していく方針であることがうかがえます。かつて足立区神明南の住宅街で、しましまの庇とレトロな青い看板を掲げ、手作りの美味しいロールケーキとユニークな昭和レトロ雑貨を提供していた「クルム」は、その独自のコンセプトと質の高いお菓子で、多くの人々に愛されていました。