渋谷の喧騒から少し離れた桜丘町に佇む「三漁洞」は、昭和42年(1967年)創業の長い歴史を持つ居酒屋・小料理店です。渋谷駅の各線からアクセスが良く、JR渋谷駅南口からは徒歩約2分、東京メトロ銀座線からも徒歩約2分と駅至近の立地でありながら、地下にある隠れ家のような落ち着いた雰囲気が魅力となっています。かつて渋谷の再開発に伴い一時休業を経て、2019年5月に同じ桜丘町エリアでリニューアルオープンしました。現在の店舗はNT渋谷ビルの1階に位置し、国道246号線にかかる歩道橋を降りてすぐの場所にあります。
「三漁洞」のコンセプトは、「酒と魚を楽しむ昔ながらの海鮮居酒屋」。創業から50年以上にわたり受け継がれる「味」へのこだわりが根底にあります。創業者は音楽家であり釣りの名手でもあった福田蘭堂氏。その息子で、クレイジーキャッツのピアニストでもあり料理研究家としても知られる石橋エータロー氏が料理の味を進化させました。現在はエータロー氏の奥様が女将として店を切り盛りされており、和服に割烹着姿で迎えてくれる女将の存在が、初めて訪れる客にも「ただいま」と言いたくなるようなアットホームで温かい空間を醸し出しています。店内は木目を基調とした落ち着いた雰囲気で、肩肘張らずに美味しい料理と酒を堪能できる、まさに「大人のオアシス」と評されています。店内には、創業者の福田蘭堂氏や石橋エータロー氏、さらには蘭堂氏の父で洋画家の青木繁氏といった芸術一家にゆかりのある書や絵画、クレイジーキャッツ時代の写真などが飾られており、店の歴史と文化を感じさせる特別な空間となっています。
提供される料理は、毎朝市場から厳選して仕入れる鮮度抜群の魚介類と旬の野菜を活かした和食・海鮮料理が中心です。長年多くの食通に愛されてきた看板メニューの一つが「ぶりと大根の炊き合わせ」です。飴色になるまでじっくりと煮込まれた大根にぶりの旨みが染み込んだこの一品は、「どうやったらこんな味が出るの?」と感嘆の声があがるほどの絶品と評判です。その他にも、鮮度を活かした刺身の盛り合わせや、白身魚の薄造り、貝の刺身なども人気です。また、「あさりの酒蒸し」や「冷やし焼きナス」、「蟹の甲羅焼」といった、酒によく合う家庭的でありながらも手間暇かけられた逸品が揃います。「きんきの煮付」や「鯛のかぶと煮」、「かれいの煮付」といった煮魚メニューも豊富です。ドリンクは日本酒や焼酎を中心に、料理との相性を考え厳選された美酒が用意されています。平均的な予算は、ディナータイムで一人あたり5,000円程度となることが多いようですが、注文する内容によっては4,000円台から、あるいは6,000円を超える場合もあるようです。ランチ営業は基本的に行っていません。
店内には合計45席が設けられています。内訳としては、カウンター席が数席とテーブル席が20席ほどあります。かつては小上がり席もあったようですが、現在の店舗で個室があるという情報は見当たりません。カウンター席はスタッフとの会話を楽しみたい一人客にも人気です。テーブル席は、お互いの会話を心地よく楽しめる絶妙な距離感に配慮されていると言われています。店内は全席禁煙ですが、喫煙スペースが設けられています。クレジットカードでの支払いが可能(VISA, Master, JCB, AMEX, Diners)です。特別なサービスとしては、女将自らがもてなす温かい雰囲気や、店内に飾られた芸術作品の数々、そして長年の常連客に愛される居心地の良い空間そのものが挙げられるでしょう。複数の言語に対応したメニューも用意されているようです。