東京都港区麻布十番に位置していた「望月」は、かつて麻布十番駅からほど近い場所にありました。東京メトロ南北線および都営大江戸線が乗り入れる麻布十番駅の1番出口からは、徒歩およそ3分(約190メートル)の距離にあり、アクセスしやすい立地でした。都営大江戸線の赤羽橋駅からも徒歩圏内でした。
望月は、さつまいもを専門としたカフェとして運営されており、「大人の和カフェ」というコンセプトを掲げていました。ここでは、美と健康を意識したさつまいも、珈琲、紅茶といったメニューが提供されていました。店舗の大きな特徴は、独自の製法で熟成させたさつまいもを使用していた点にあります。さつまいもを約3ヶ月間もの長い時間をかけて熟成させ、さらに低温でじっくりと加熱することで、さつまいも本来の甘さを最大限に引き出していました。この熟成焼き芋は、糖度が50度を超えることもあったと記録されています。
提供されていたメニューの中心は、このこだわりの熟成焼き芋を使った様々なスイーツでした。中でも、「熟成焼き芋モンブランかき氷」は特に人気を集めていたメニューの一つです。ふわふわのかき氷の上に、熟成芋と生クリーム、牛乳を合わせた濃厚な芋クリームソースと、砂糖を加えていないさつまいもペーストがたっぷりと盛られていました。さつまいも本来の優しい甘さとクリーミーな食感が特徴で、ミニサイズも用意されており、好みに合わせて選ぶことができました。また、「熟成焼き芋のテリーヌ」も人気でした。フレンチレストランと共同で開発されたこのテリーヌは、和三盆やエシレバターを使用し、白砂糖を使わずに作られていました。ねっとりとした熟成焼き芋とバターの風味が絶妙に組み合わさった逸品で、手土産としても人気で、テイクアウトも可能でした。他にも、冷凍された状態で提供される「冷やし熟成焼き芋」や、特定の時期には焼き芋そのものもメニューに並んでいました。熟成焼き芋とオリジナルの望月プリンにドリンクが付いたセットもあり、様々な形でさつまいもを堪能できる工夫がされていました。ドリンクメニューには、オリジナルの望月ブレンドコーヒーや数種類の紅茶、さつまいもの甘みが感じられる芋ラテなどがありました。価格帯は、スイーツやセットメニューを中心に、単品ドリンクや焼き芋は比較的利用しやすい価格でしたが、人気のスイーツセットなどは2,000円を超えるものもありました。客層としては30代以上を想定し、客単価は2,000円から3,000円程度を目指していたとされています。
店内の座席配置は、カウンター席とテーブル席に加えてテラス席も設けられており、和の雰囲気を取り入れた落ち着いた空間でした。総席数は24席とも、15席から20席とも言われています。個室や特別なソファ席に関する情報は確認できませんでした。特別なサービスとしては、テラス席の一部が犬同伴可能であった点が挙げられます。愛犬と一緒にリラックスした時間を過ごせる点は、犬を飼っている方にとって大きな魅力でした。また、一部メニューのテイクアウトが可能であったため、自宅や外出先でも望月の味を楽しむことができました。来店にあたっては、事前にインターネットでの席予約も受け付けていました。
しかしながら、複数の情報源によると、麻布十番のこの店舗は2023年5月頃に営業を終了し、閉店したとされています。その後、銀座に移転しており、現在は銀座の店舗でお土産商品の販売を中心に行い、カフェスペースはスイーツラウンジとして不定期に営業しているとのことです。麻布十番のコムズビル1Fにあった望月は、さつまいもスイーツの専門店として、そのユニークなコンセプトとこだわりのメニューで注目を集めていました。